胃ポリープとは
胃ポリープとは、胃の内側(粘膜)にできるイボのような小さな膨らみのことです。多くの場合は良性で、がんではありません。自覚症状がないことがほとんどで、胃カメラ検査を受けた際に偶然見つかることが多いのが特徴です。
ポリープにはいくつか種類があり、大きさや形、種類によって治療方針は異なります。一般的には、小さくて良性と判断されるポリープは経過観察となりますが、大きくなる場合やがん化のリスクがあるポリープは内視鏡で 切除することもあります。
胃ポリープの種類と特徴
胃ポリープにはいくつか種類があり、それぞれ特徴や治療方針が異なります。
過形成性ポリープ(かけいせいせいポリープ)
胃ポリープの中で最も多いタイプです。
多くは慢性的な胃炎が原因でできるとされており、基本的には良性のものがほとんどです。
ただし、大きくなった場合や形が不整な場合は切除をすすめられることもあります。
小さいものは胃カメラで定期的に経過観察することが多いです。
腺腫性ポリープ(せんしゅせいポリープ)
腺腫性ポリープは、がんに進行する可能性があるタイプです。
発見された場合は内視鏡で切除して検査(病理検査)を行うことがすすめられます。
胃ポリープの中でも特に注意が必要な種類です。
胃底腺ポリープ(いていせんポリープ)
胃の上部(胃底部)にできる小さなポリープです。
胃酸を抑える薬(PPI)を長期間服用している方に多く見られます。
基本的にがん化することはほとんどないため、多くの場合は切除せず経過観察となります。
このように、胃ポリープは種類によって治療方針が変わるため、「良性だから安心」「放置して大丈夫」と自己判断せず、専門医による胃カメラ検査と適切な診断が重要です。
胃ポリープができやすい人・原因
胃ポリープは誰にでもできる可能性がありますが、次のような方は特にできやすい傾向があります。
ピロリ菌感染がある方
ピロリ菌に感染していると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起きやすくなります。
このため、過形成性ポリープができやすくなると言われています。
ピロリ菌感染が続いている場合は、除菌治療でポリープの増加や増大を防げることもあります。
胃酸を抑える薬(PPI)を長期間服用している方
胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬:PPI)を長期間服用している方は、胃底腺ポリープという種類のポリープができやすくなります。
このポリープはがん化のリスクは低いため、定期的に胃カメラで様子を見ていくことが一般的です。
慢性胃炎がある方
胃の粘膜に慢性的な炎症(慢性胃炎)があると、過形成性ポリープができやすくなります。
ピロリ菌の有無にかかわらず、胃炎を持っている方は注意が必要です。
年齢・遺伝的体質
中高年以降の方や、もともとポリープができやすい体質の方もいます。
家族にポリープが見つかった方がいる場合は、家族性ポリポーシスなどの遺伝性の病気が隠れている場合があるので、一度胃カメラでチェックしておくと安心です。
黒い便(タール便)
潰瘍から出血している場合、便が黒くなることがあります。これは消化管内で血液が消化されたサインです。
吐血(重症の場合)
潰瘍から大量に出血すると、口から血を吐くこともあります。これは危険な状態で、早急な治療が必要です。
胃ポリープの症状
胃ポリープは、多くの場合自覚症状がありません。そのため、胃カメラ検査を受けた際に偶然発見されることがほとんどです。
ただし、次のような場合には症状が出ることがあります。
ポリープが大きくなった場合
胃の中で食べ物が通りにくくなり、胃もたれや不快感を感じることがあります。
ポリープから出血した場合
黒い便(タール便)や貧血症状(だるさ・息切れ)を起こすことがあります。
稀に胃の不快感や軽い痛み
ポリープが刺激されることで、軽い不快感を感じることもあります。
このように、症状がなくてもポリープができているケースは多く、気づかないうちに大きくなることもあるため、症状の有無にかかわらず定期的な胃カメラ検査での確認が大切です。
胃ポリープの検査
胃ポリープは胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)によって発見・診断されます。
ポリープは症状がほとんどないことが多いため、胃カメラ検査中に偶然見つかるケースが多いのが特徴です。胃カメラでは、胃の粘膜を直接観察することで、ポリープの大きさ・形・色調を確認できます。必要に応じて、ポリープの一部を採取して組織検査(生検)を行い、良性か悪性かを詳しく調べることもあります。
当院では、苦痛の少ない経鼻内視鏡や鎮静下の胃カメラに対応しており、はじめての方でも安心して検査を受けていただけます。
また、当院では内視鏡ドックも行っておりますので、「症状はないけれど一度詳しく胃を調べたい」「健診でポリープと言われた」という方でも、症状がない段階から検査可能です。
胃ポリープは定期的な経過観察が大切なため、不安な方はお気軽にご相談ください。
胃ポリープが悪性(がん)である確率は?
胃ポリープは多くの場合良性であり、がんではありません。
特に胃カメラでよく見つかる過形成性ポリープや胃底腺ポリープは、がんになることは非常に少ないとされています。
ただし、腺腫性ポリープという種類のポリープは注意が必要です。この腺腫性ポリープは、がん化する可能性があるため、発見された場合は内視鏡で切除して詳しく調べることがすすめられます。
実際に胃ポリープ全体の中でがんが見つかる確率は非常に低いですが、「ポリープの種類は見た目だけでは判断できない」ため、必要に応じて組織検査(生検)や切除が行われます。
胃ポリープが見つかった場合は、医師の診断のもとで経過観察を続けることが、がんの早期発見・予防につながります。
胃ポリープの治療は経過観察が基本
胃ポリープの治療は、ポリープの種類や大きさ、形によって異なります。多くの場合は良性であるため、すぐに切除が必要になるケースはあまりありません。特に、過形成性ポリープや胃底腺ポリープといったがん化のリスクが低いポリープは、胃カメラで定期的に経過を観察しながら、ポリープの大きさや形の変化、出血の有無などを確認していきます。必要以上に心配せず、医師の指示に従って胃カメラ検査で様子を見ることが治療の基本となります。
切除がすすめられるケース
次のような場合は内視鏡によるポリープ切除が行われることがあります。
- 腺腫性ポリープ(がん化リスクがあるため)
- 大きくなってきた場合
- 形や色が不整で悪性の可能性がある場合
- 出血している場合
- 貧血の原因になっている場合
多くの場合、日帰り内視鏡手術で切除が可能です。大きさや出血リスクによっては入院が必要なこともあります。
ピロリ菌除菌も治療の一つ
過形成性ポリープが複数できている場合などは、ピロリ菌除菌治療を行うことで、ポリープが小さくなったり消失したりするケースもあります。
ピロリ菌が原因の方には除菌治療もすすめられることがあります。
よくある質問
胃ポリープは自然に消えることがありますか?
はい。特に過形成性ポリープは小さいものなら自然に縮小したり消えることもあります。ピロリ菌除菌によって消えるケースもあります。
胃ポリープは遺伝しますか?
一般的な胃ポリープは遺伝性の病気ではありません。ただし、ごく一部に遺伝性の腫瘍性ポリープができる家系もあります。
胃ポリープがあると胃の動きは悪くなりますか?
基本的に胃ポリープが胃の動き(胃の蠕動)を悪くすることはありません。非常に大きなポリープの場合は影響が出ることがあります。
胃ポリープは一度できたらずっと残りますか?
十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間にみぞおちが痛むのが特徴です。痛みは食べると一時的に和らぐことがあります。
胃ポリープができたら食事に気をつけるべきですか?
ポリープそのものは食事と直接関係ありません。ただし胃炎がある場合は刺激物やアルコールを控えると良いでしょう。
胃ポリープは何歳くらいからできやすいですか?
40代以降に見つかることが多くなりますが、若い方でもできることがあります。加齢とともに発見されやすくなります。
胃ポリープが増えやすい薬はありますか?
はい。胃酸を抑える薬(PPI)を長期間服用している方は胃底腺ポリープが増えやすいとされています。
胃ポリープがあると内視鏡検診は頻繁に受けた方がいいですか?
医師の判断によりますが、1年~数年ごとの胃カメラで定期的に経過観察することが一般的です。
胃ポリープが出血することはありますか?
はい。大きくなったポリープや表面が傷ついた場合、出血して黒い便が出ることもあります。
ピロリ菌が陰性ならポリープはできませんか?
ピロリ菌がいない場合でも胃底腺ポリープはできることがあります。ピロリ菌陰性でもポリープが見つかることは珍しくありません。
胃ポリープを切除した後は再発しますか?
ポリープは新たにできることもありますが、切除したポリープそのものが再発することはほとんどありません。定期的に胃カメラでチェックすることが大切です。
胃ポリープの切除は入院が必要ですか?
多くの場合、日帰り内視鏡手術で切除が可能です。大きさや出血リスクによっては入院が必要なこともあります。
胃ポリープと胃腺腫は同じですか?
いいえ。胃腺腫はポリープの一種ですががん化リスクがあるため、通常の胃ポリープ(過形成性ポリープなど)とは区別して扱われます。
胃ポリープの治療後、どれくらいで普通の生活に戻れますか?
内視鏡でポリープを切除した場合は、数日~1週間程度で普通の食事や生活に戻れることが一般的です。
胃ポリープは健康診断では見つかりませんか?
胃透視(バリウム検査)では見つからないことも多いため、胃カメラ検査で確認することが確実です。