大腸ポリープ

大腸ポリープとは?症状がなくても注意したい理由

大腸ポリープとは?症状がなくても注意したい理由大腸ポリープとは、大腸粘膜に生じるイボ状の隆起のことです。
患者様に自覚症状はほぼなく、主に便潜血検査をきっかけに当院の大腸内視鏡検査で発見されます。
その大半は良性ですが、悪性のものや将来がん化する恐れがあるため、早期の治療と発見が肝要です。

大腸ポリープの症状チェック

大腸ポリープは、大腸の粘膜にできるイボ状の隆起物です。
初期段階では、患者様に自覚症状はほとんどありません。
しかし、ポリープが肛門付近にできたり、大きくなったりすると、以下のような症状が現れることがあります。

大腸ポリープの症状チェック
  • 血便
  • 粘液便
  • 腹部膨満感
  • 腹痛
  • 下痢
  • 便秘
  • 腸閉塞

大腸ポリープの原因とできやすい人の特徴

大腸ポリープは遺伝子異常を主因として発生します。
それに加え、喫煙、過度の飲酒、脂質やタンパク質の多い食生活、肥満、50歳以上の年齢、ご家族の既往歴といった危険因子も発症に影響するとされています。
特に、ご家族や近親者に大腸がんの既往歴がある患者様は、発症リスクが2〜3倍に高まるとの報告があります。
現状、大腸がんを確実に予防する方法は確立されておらず、有効性が示唆されるのは適度な運動のみです。
そのため当院では、確実な予防が難しいからこそ、定期的な検査による早期発見が極めて重要だと考えております。
40歳以上の患者様や、ご年齢にかかわらずご家族に大腸がんの既往歴がある方には、大腸内視鏡検査の受診を強く推奨いたします。

大腸ポリープの検査

大腸がん検診にも用いられる便潜血検査は、便に血液が混入しているかを確認するものです。
この検査で陽性となっても出血部位は特定できないため、精密検査として大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)が不可欠です。
大腸カメラ検査では、疑わしい病変が見つかればその場で組織を採取し、病理検査によって確定診断を行うことが可能です。当院では、消化器・内視鏡専門医である院長が、鎮静剤を使用し患者様のご負担を軽減しながら丁寧に検査を行っておりますので、ご安心ください。
なお、自覚症状がない場合でも、大腸ポリープや早期の大腸がんを発見する目的で「内視鏡ドック」を受けていただくことが可能です。

日帰りで行う大腸ポリープ切除

日帰りで行う大腸ポリープ切除ポリープは内視鏡検査中に発見次第、その場で切除を行います。
患者様が切除時に痛みを感じることはありませんのでご安心ください。
適切な治療のためには、ポリープの正確な診断と的確な手技の選択が不可欠です。
当院では、粘膜状態、ポリープの発生部位や形状を観察し、切除の要否を慎重に判断します。
この判断には豊富な経験と熟練した内視鏡操作が求められます。
がんの疑いが少しでもある場合は当院で無理に切除せず、患者様の安全を最優先し、より高度な治療が可能な医療機関へご紹介することもあります。

内視鏡的ポリープ切除術(コールド・ポリペクトミー)

内視鏡的ポリープ切除術(コールド・ポリペクトミー)当院では、ポリープ切除の主流な手技として「Cold snare polypectomy(CSP)」を採用しております。
これは、スネアという金属製の輪でポリープを物理的に絞り切る方法です。
従来の高周波電流で焼き切る「Hot snare polypectomy(HSP)」は、熱による組織へのダメージが大きく、後に出血するリスクが課題でした。
その点、CSPは熱を加えないためHSPより安全性が高く、切除後の出血リスクを大幅に抑えることが可能です。
当院では、茎の太いポリープなどにはHSPも用いますが、患者様の安全を最優先し、ポリープの特性に合わせてCSPを中心とした切除を行っています。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)当院では大腸内視鏡検査で発見したポリープに対し、日帰りでの切除手術を行っております。
基本的に、患者様に入院していただく必要はございません。
他院では後日改めて切除となる場合もありますが、当院では一部の例外を除き、検査と同時に治療まで完了いたします。
また、スネアでの把持が困難な平坦な形状のポリープには、粘膜下に液体を注入して病変を隆起させてから切除するEMR(内視鏡的粘膜切除術)という手技も選択します。

大腸ポリープ切除後の食事・注意事項

大腸粘膜には知覚神経がないため、ポリープの切除中や切除後に患者様が痛みを感じることはありません。しかし、痛みがない代わりに、出血などの合併症が起こる可能性があります。
そのため、切除後1週間は日常生活において以下の点にご留意ください。

  • 旅行や出張、長時間の運転といった長距離の移動はお控えください。
  • お腹に圧力がかかる前かがみの姿勢や動作は避けてください。
  • 飲酒や激しい運動は控えるようお願いいたします。
  • ご入浴は翌日から可能ですが、当日はシャワーのみでお済ませください。術後1週間は、ぬるめのお湯で短時間に留めていただくのが安全です。
  • お食事については、術後1週間は消化の良いものをお選びください。特に手術当日と翌日は、アルコール、香辛料などの刺激物、脂質の多い食事は避ける必要があります。当院では、白身魚や玉子丼、うどん、よく煮込んだ野菜スープなどをおすすめしております。

大腸ポリープ切除の費用

  費用(3割負担)
診察料・血液検査・使用薬剤料他 約2,000円〜3,500円
大腸内視鏡検査(大腸カメラ) 約5,000円
病理組織検査 約3,500円〜7,000円
大腸ポリープ切除術 約9,000円〜13,000円
合計 約8,000円〜30,000円

上記は目安となる金額です。
鎮静剤の使用の有無、その他使用する薬の種類などにより、金額は変動します。

よくある質問

大腸ポリープは、がんになりますか?

大腸ポリープは、そのサイズが大きくなるほど癌化する危険性が高まるのが一般的です。
サイズが10mmを超えると癌である確率は10%〜30%に上昇しますが、5mm以下のポリープではその確率は0.3%〜3.4%程度に留まります。ポリープが癌に進行するまでの期間は通常5年から10年とされますが、長期間変化しない例もあり一様ではありません。

大腸ポリープは、必ず切除が必要ですか?

大腸ポリープは、性質によって非腫瘍性のものと腫瘍性のものに大別されます。
非腫瘍性には過形成性ポリープや炎症性ポリープが、腫瘍性には腺腫やがんが含まれ、それぞれ治療方針が異なります。大腸ポリープの中では、腺腫が最多です(全体の80%を占めます)。腺腫は、30~40歳頃より認め始め、加齢に従って発生頻度が高くなる傾向にあります。

「腺腫」は、将来的にがん化するリスクがあるため、切除と定期的な経過観察が原則です。

※大腸腺腫の内視鏡切除により大腸癌死亡率を減らすとの報告があり、大腸腺腫の内視鏡切除が強く勧められます。大規模な研究報告では、大腸腺腫の内視鏡切除により大腸癌罹患率を80%減らし、大腸癌死亡率を50%減らすことが示されています。

一方で「過形成性ポリープ」の多くは3mm以下の良性で、がんになる可能性はまずありません。
これは大腸内視鏡検査を受ける患者様の多くに見られ、正常な粘膜との区別が難しいほど微小な場合もあります。
そのため当院では、出血などの症状がない限り、患者様にご説明の上で切除の対象とせず経過観察としております。
そのままにしても患者様の健康を損なうことはございませんのでご安心ください。

大腸ポリープを切除する時は痛みを感じますか?

大腸粘膜には知覚神経がないため、切除の際に患者様が痛みを感じることはありません。

ポリープ切除後は、普段の食事をしてもいいですか?

手術から3日目以降は、普段に近いお食事を再開していただけます。
ただし、飲酒、刺激物、脂質の多い食事については、患者様の安全のため術後1週間程度お控えください。

仕事復帰はいつから可能ですか?

デスクワークなど、患者様のお身体へのご負担が少ないお仕事は、翌日から復帰することも可能です。
ただし、出血やお腹の張り、違和感などがないか体調をよくご確認いただき、決してご無理はなさらないでください。
一方で、建設業、介護職、運送業など、お腹に力が加わるお仕事は、最低でも3日から1週間はお休みいただくのが安全です。
復帰の時期については、必ず当院医師の許可を得てからにしてください。
お仕事に復帰された後も、万が一、強い腹痛や出血といった異常が見られた際は、速やかに当院までご連絡をお願いいたします。